2009年5月26日

レトロフューチャーメカ、スチームバード(2)



さて、今回も、前回に引き続き、レトロフューチャーメカのご紹介を続けたいと思います。前回は、全体の形状がよくご理解いただけるような画像をご紹介しましたが、今回は、部分アップ画像を中心に、取り上げていきたいと思います。



まず、こちらが、コクピット部分です。計器板上部の風防は、平面の一枚ガラスを、金具で挟み込んだ可倒式のものとしています。この形状は、戦前のフォーミュラーカーであるアウトウニオンの風防を参考にしてデザインしました。
本メカは、たとえ高速で飛行するといっても、現行のジェット機よりは低速であり、このような風防でもなんとか耐えられる、という設定にしています。
ちょっと苦しい設定かもしれませんが、剥き出しのコクピットのほうが、ビジュアル的に映えると判断したため、このような風防を採用しました。
コクピット内は、大型のレトロなメーターで埋められています。その多くが、各ボイラーの圧力計といったもので、こうしたメーター類が外部から容易に見えることによって、メカらしさが増し、ひいては視覚的にも楽しさが出るように思います。



さて、次はエンジン部分です。こちらは、配管や、圧力を逃がすための調整弁などが、ボディから突き出しています。また、翼を上下させる機構も露出するかたちとなっています。
この後部の複雑な機構が、本メカのビジュアル上の大きな特徴のひとつとなっています。



ついで、同じ箇所を斜め後方から見てみました。巨大なノズルの付け根付近の形状は、レシプロ戦闘機に搭載されている空冷星形エンジンを彷彿とさせるデザインにしてみました。こうして見てみると、さらに細かなパイピングやコードなどのディティールが、もうちょっとあってもいいのかもしれません。



そしてこちらは、本メカが載せられている、簡易型小型台車です。前後で台車の形状が微妙に違っています。左右のスキッド(ソリ)部分のすぐ真上には板バネがあり、中央付近にもサスペンション機構があって、機体を載せるさいにかかる衝撃をやわらげるようになっています。また、機体と直接接する部分には、ゴムコーティングが施されていて、機体に傷をつけないよう、配慮されています。この台車は、機体が離陸した場合、そのまま、地面、あるいはカタパルトなどの射出装置の上に残されます。



さてこちらは、簡易型小型台車ごとメカを載せる、大型の作業用台車です。この台に乗せられて、組み立て作業や整備作業が行われ、離陸となった場合は、この作業台がレールの上を移動し、カタパルトに連結します。



このメカは、スチームバードと命名しました。以前このブログでご紹介した、フライングスチームシップと同時代、同一の技術体系のなかで製造されたもの、という設定にしています。

それでは、今後も、レトロフューチャーメカや、クールなメカのご紹介を、していきたいと思います。ご期待下さい。

2009年5月20日

レトロフューチャーメカ、スチームバード(1)



さて、久しぶりの投稿になりますが、今回は、レトロフューチャーデザインのメカニックをご紹介したいと思います。

このメカニックは、蒸気ジェット(ロケット)機です。推力を得るしくみは、断続的な水蒸気爆発を発生させる、という設定にしています。もっとも、そのような原理で、ロケットを飛ばすことなど、まったくの不可能事なのでしょうが、蒸気機関を発明した当時の人々は、この機構をさらに発展改良させていけば、やがては、空を飛ぶ機械も作れるに違いないと、夢を膨らませたのではないかと思います。
レトロフューチャーとは「懐古趣味的未来」という意味ですが、その世界観は「現在とは異なる技術体系を持つ異世界」という定義付けも成り立つのではないかと思います。このメカは、そんな夢想の世界の産物であり、よって設定も自由に、ということで、蒸気ロケットという設定にしました。



このメカニックは、見ての通り一人乗りで、実験的な意味で作られた機体という設定です。実用性はほとんどなく、航空レース競技などに使われる、スペシャルマシンということにしています。離陸は主に専用のカタパルトを使って行い、着陸は胴体下部に収められた簡易着陸脚(橇状のもの)を下ろして、半ば強引に着陸する、ようになっています。きちんとしたランディングギアをもたないため、移動時や待機時は、冒頭の画像のように、専用の台車に乗せられています。

翼は、アームによって上下に駆動するようになっており、蒸気駆動によって鳥のように翼をはばたかせ、揚力を得るという設定になっています。ただ、この揚力はあくまで補助的なもので、低速時や離陸時に使用する、という設定にもなっています。



このメカは、もともと、昔の葉巻型F1のように、エンジン部分が露出するメカを作りたい、という思いから、製作をはじめました。
ですから、よくも悪くも、リアビューがもっともビジュアル的に映えるようなデザインとなってしまっています。デザインスケッチもリアからのものしか存在しません。

ボディは真鍮のようなテクスチャを持つ軽合金で作られており、各所はリベットによって接合されています。レトロフューチャーなガジェットに、リベットは欠かせないアイテムです。

私のレトロフューチャーメカの特徴は、目に相当する部分がついていることです。このメカにも、前部ボイラの点検口(廃熱口)という設定で、目がついています。レトロフューチャーなガジェットは、どことなくユーモラスな雰囲気を出したいと思っているので、このような部分を、いつも付けるようにしています。



さて、次回は、このメカのディティールについて、さらにくわしくご紹介したいと思います。

2009年2月24日

LRT (Light Rail Transit) を考える。



近年、環境保護の観点から、都市の交通システムに、路面電車をふたたび取り入れようという動きが、活発になってきているように思います。

ほんの数年前まで、路面電車といえば、マイカーが普及した時代にあっては、どちらかというと、邪魔者的な存在であり、また、採算面での問題も多く、やがては消えてなくなる交通手段のように思われていました。

ですが、都市中心部の交通渋滞の悪化や、燃料費高騰、さらには温暖化ガスの排出といった問題が噴出するようになると、姿を消しつつあった路面電車が、今一度、脚光を浴びるようになってきました。

近年の路面電車は、床を低くして乗客の乗り降りを容易にするなどの工夫がなされ、またデザイン的にも、すぐれたものがたくさん登場しているようです。こうした路面電車は、LRT(Light Rail Transit)と呼ばれ、今後、都市の交通の一翼を担うことが期待されています。

というわけで、今回は、この路面電車(LRT)を作ってみました。



今回のデザインの主眼は、前方のウインドウグラス部分を広く大きくとることにありました。これによって、運転手だけでなく、乗客からも前方がよく見えるようになり、LRTをして単なる交通手段ではなく、観光のツールとしても使用できるよう考えてみました。

車輛は二両一組で、それぞれに、前後の昇降口があります。車内通路を広くするため、座席は三つが並列するかたちとなっています。
また、運転席上部には大型のモニターがあり、ここに、観光案内的な映像が映し出すことによって、乗客への情報提供がなされる、といった設定になっています。



車体前面にあるランプの一部は、大きく張り出したウインドウグラスに内包されるデザインとなっています。上部にいくほど前へ張り出すウインドウグラスは、車内においては、圧迫感の軽減に寄与するものと思っています。

さて、今後は、こうした、現実的なメカニックも、多数登場させていけたらと、思っています。(ですが、次回のメカがそうなるかどうかは、未定です)

ちなみに、このLRTは、LRT&BRTデザインコンテストにて、入選した作品でもあります。

2009年2月18日

多足歩行機械をもう一度考える(2)



かなり間があいてしまいましたが、前回ご紹介した四足歩行(走行)メカニックを、今回も、引き続き、画像を交え、解説していきたいと思います。
今回は、本メカニックのディティールや各部の機能の詳細を、順を追って説明していきたいと思います。



まず、足回りですが、歩行を可能とする脚部分の先には、それぞれ、整地や路面での機動性を高めるため、車輪が設けられています。

車輪は、一足につき、ふたつが一組となっており、それぞれのホイルの内部に、強力なモーターを四基搭載しています。つまり、左右の両輪共々、独自の動力源を持つことになります。
ふたつの車輪に挟まれた部分にある、グレーの円筒形の部品が、ステアリングを司るモーターで、このモーターが、ふたつ一組になっている車輪を左右に旋回させて、操舵をしています。このそれぞれの車輪は、独自の動力をもっているため、左右で逆方向に回転させることができ、ステアリングを切るさいに、車輪の動きをスムーズにします。

サスペンション機能は、脚部の関節にあるモーターが、その代用を勤めています。足先や胴体下部に路面状態を検知するセンサーが多数設けられており、路面の凹凸にあわせ、各脚部が上下し、衝撃を吸収します。
多少の不整地であっても、本機は、スケートリンク上のスケーターのように、前後左右に、なめらかに移動することができまし、超心地旋回も難無くこなします。極端な不整地では、車輪を止め、四本の脚による歩行を行って、移動します。



続いて今度は、作業アーム部分について解説していきます。

前回の記事でも触れましたが、アーム部分は、通常はコンパクトに折り畳まれおり、作業時には展開することとなります。

先端のマジックハンドは、災害時に人命を救助するさい、破壊された建物や障害物を取り除くためのもので、ハンド部分の先端には、バーナートーチが内蔵されており、鉄骨などの金属製障害物を切断したりすることも可能となっています。
また、バーナートーチは、2本の指部分の内側にもあり、障害物を2本の指で挟んだ状態で、切断作業をすることもできます。
マジックハンドの根元には、各種センサーやライトがあり、各種作業をサポートします。

ただ、このバーナートーチは、あくまで補助的なもので、その威力にも限界あるため、切断作業が手に余る場合には、作業腕本体(下腕部分)を、切断作業専用のものに交換する必要があります。

作業腕部分の交換作業はいたって簡単で、腕部分後方のラッチを回して外し、個別の作業に適した腕を取り付けます。
個別作業用の腕はいくつもバリエーションがあり、なかには、溶接作業ができる腕や、チェーンソーを持つ腕などがあります。

各種の専門ツールを装備することで大きな力を発揮するこのアームは、しかし過大な重量物を持ち上げるといった作業にはむいておらず、そのさいは、クレーンを持つ別のメカニックの援助を受けなくてはなりません。
本機は、極めて柔軟な作業をこなすマルチユーティリティーメカニックですが、決して万能ではなく、実際には、性質の異なる同種のメカの助けが不可欠となります。



足の付け根は、大きな力がかかる箇所でもあり、強力なモーターにより各個駆動されています。
また、この部分(胴体下部前面)には、コンパクトながら、ウインチも装備されています。赤い三角の下に、グレーのパーツがありますが、この奥に、ウインチ基部があります。



さて、次回は、また別のメカニックをご紹介したいと思います。

2008年10月28日

多足歩行機械をもう一度考える(1)



さて、久しぶりの記事投稿となります。
ここのところ、レトロフューチャー風メカニックの紹介が続きましたが、今回は、近未来メカの登場してもらうことなりました。しかも、多足歩行機械について、ふたたび考えてみました。
以前、このブログに登場したレスキュー用多足歩行機械GRASSHOPPERと、同類のメカニックという想定です。

このメカニックも、GRASSHOPPER同様、整地された場所では、車輪で走行し、不整地では脚部で歩行する、というシステムを有するものです。
近未来(21世紀中頃)のテクノロジーにて生産されたものという設定で、そうした時代設定に見合う、現実味を帯びたフォルムを目指しています。

将来、地球温暖化によって、かつてない大型台風や、局地的な豪雨、そして竜巻が引き起こされ、人類を脅かすようになるかもしれません。そんな時代が到来すれば、このようなメカニックが、災害発生の現場で、大きな威力を発揮することになるでしょう。

また、地震や、テロなどの人為災害の現場でも、活躍するに違いないと思います。

路上が障害物に溢れていても、歩行機構を使って進み、破壊された建物や構造物をマジックハンドで除去して、人命救助にあたったり、また、建設作業にも幅広く使えるのではないかと思っています。



このメカニックは、災害と戦うマシンであるが故に、地球環境にも配慮したものとなっています。動力はすべて電力で、各関節、車輪を動かすのはモーターとなっています。そのため、CO2の排出はほとんどありません。

キャビン左右に設えられたマジックハンドは、現在の状態は折り畳まれていて、作業時に、展開させることになっています。
マジックハンドを外して、専用のスポット溶接機や、大型カッターを装着する、ということも、可能だという設定にしています。



また、キャビン自体も、上下に昇降し、かつ旋回するようになっています。可動部が多いことは、作業の効率を高めるものと思っています。

さて、次回は、このメカニックについて、さらに詳しく解説したいと思います。

2008年7月12日

ふたたび、レトロフューチャーメカ(2)


前回に引き続き、フライングスチームシップをご紹介していきたいと思います。
今回は、そのディティールに重点を置いて、説明していきたいと思います。


翼を駆動するアームは、最初、単純に、円筒状パーツとして作っていました。ですが、いざ、出来上がってみると、形状的に、いまひとつおもしろみがありません。というわけで、いろいろ考えたすえ、現在の丸い穴が空いたアーチ状のパーツを、設えることにしました。このほうが、レトロな外観とよく合うと思います。
また、翼は、アームだけで駆動されているわけではなく、翼を吊るワイヤーも、駆動をサポートしている、という想定にしています。


こちらの画像は、主翼部分を外し、アームと、アーム駆動部を、見やすく露出させた画像です。このような、歯車やクランクといった、アナログ的な機構が密集する部分があると、見た目にも、楽しさがあるように思います。

余談ですが、操縦席前にある、弧を描くアンテナは、帝国陸軍の九七式中戦車の鉢巻きアンテナを参考にデザインしました。(もともと、私は戦車マニアですから…)


さて、翼を外した状態のままで、今度は、機体を上方から見てみます。
デッキは板張りになっており、このあたりのイメージは完全に「船」です。このメカニクスは、翼のはばたき機能により、空中をゆっくりと進むことができるため、飛行中に、デッキに出ることも可能、という想定にしています。それでも、きっと、デッキに出ると、かなりの強風に見舞われそうですが…。

いずれにしろ、機体に、手すりやラッタルなどがあると、見る側に、「そこに人が行ける」という気持ちを抱かせるのではないかと思います。そうすると、実際にこの乗り物に乗った時のことなどを、諸々想像することになります。手すりやラッタルは、見ていて楽しくなるメカニクスをデザインするさい、重要なファクターとなりそうです。


羽ばたく翼は、機体の上昇に寄与するもので、前へ進む原動力にはあまりなっていません。機体を前進させるのは別の動力。高圧蒸気噴射によって推力を得ています。機体最後尾の球体も、謎の推力発生装置として設えてみましたが、ここだけオーバーテクノロジーというのは、設定状、ムリがあるのかもしれません。素直に蒸気噴射口を付けたほうがいいのかな、とも、いま、思っています。

こうした、レトロフューチャーなメカニクスというのは、とても「絵」になる、と、私は思っています。このブログの冒頭にある、曇天の空を飛ぶフライングスチームシップは、自分でも、お気に入りの一枚となりました。
加えて、こうしたメカニクスには、真鍮のような、金属テクスチャーがよく似合うと思います。今後は、こうしたレトロフューチャーメカニクスも、シリーズ化して創造していきたいと考えております。




では、次回もご期待ください。

2008年7月11日

ふたたび、レトロフューチャーメカ(1)



今回も、前回のマンモスメカニクス同様、レトロフューチャーなメカニクスを取り上げてみたいと思います。今回登場したメカニクスは、蒸気によって駆動する、フライングマシーンです。

このメカニクスをデザインするにあたり、まず、念頭に置いたのは、「飛行機のようでもあり、また、船のようでもあり、そして飛行船のようにも見えるフォルムにしたい」ということでした。
そして、ハードなメカニクスながら、ユーモラスで微笑ましい印象を持たせたい、ということも、同時に考えました。
また、各所に、メカニカルな部分を露出させることや、実際に乗ったら楽しいだろうな、と思えるような、何らかの工夫を施すことができれば、とも、思っていました。




そうして、何枚かのスケッチを重ねて、出来上がったカタチが、コレです。
全体の形状は、基本的に、紡錘形の単純なものなのですが、そこに、客室と操縦席を含むデッキ部分が、上部に張り出すかたちとなっています。
基本の紡錘形部分は、プレスされた真鍮のような金属でできている、という想定のもとに、ライン状の凹凸を加えて、プレス感を出しています。

また、メインとなる翼は、機体内部から伸びるアームによって上下に可動するという想定になっています。このアームにより、翼は、鳥のようにはばたき、機体の上昇を補助します。



機体後方には、機体を安定させるための、固定式の補助水平翼があります。補助翼の付け根部分にある黒い円筒状物体はボイラーという想定です。

また、機体前方両脇にある目のような突出物は、さまざまな光学機器を納めた、観測室という設定にしています。この目が、ユーモラスで微笑ましい印象を醸すものと思っています。

実際のメカニクスでも、ユーモラスな造形がきわだっているものがあります。
たとえば、オースチンヒーリー・スプライトというクルマは、前面グリルが笑顔を思わせるデザインとなっており、強いインパクトを人に与えます。

レトロフューチャーなメカニクスを考察する場合は、機能性ばかりにとらわれるよりも、ビジュアル面での「つかみどころ」を用意しておくことが、肝心かもしれません。



機体下面に見える車輪は、いうまでもなく着陸用のものですが、このままの状態で着陸はできません。実際に着陸するさいには、車輪がさらに下方にせり出してくる、という設定にしています。
つまり、このメカニクスの車輪は、格納状態においても、半分露出するかたちとなっています。

車輪が完全に格納できなかった理由は、ボイラーや翼駆動装置、また、機体重量を軽減するためのヘリウムガスタンクなどで、すでに機内は埋め尽くされており、車輪をきちんと格納するスペースが満足に取れなかった、という設定にしています。




それでは、次回も、このメカニクスの紹介を続けたいと思います。