2010年2月4日木曜日

八脚歩行メカ「ライノー」



さて、前回に引き続き、多脚歩行戦車をレスキュー用に転用したメカをご紹介します。今回のメカは、八脚歩行を行う、大型歩行車輛「ライノー」です。
このメカも、当初は戦車として開発され、後に、非武装のレスキュータイプが作られた、という設定にしています。

戦車タイプでは、車体上部に、対戦車用四連無反動砲を左右に装備していますが、レスキュータイプでは、同じターレットを流用して、化学消化弾投擲装置が取り付けられています。消化弾は、化学薬品と炸薬を装填したもので、火災現場直上で炸裂し、消化薬を広く飛散させます。その成分は、人体や環境に負荷を与えないよう、配慮がなされています。
消化弾は車体上部に大量に収められており、弾頭がなくなると、投擲装置のアーム部分が車体上部にまで伸ばされ、自動装填を行うようになっています。



また、車内は、六名の完全武装の兵士と、豊富な携行火器が収容できるよう設計されているため、一定のスペースが確保されています。レスキュータイプでは、このスペースに、簡易ベッドと医療器具が取り付けられ、救命活動もできるよう改装されたのですが、上部に消化弾投擲装置のターレットや消化弾格納庫があるため、天井が低く、なおかつ、後部ハッチの開口部は狭いため、救急車としては非常に使い勝手の悪いものになってしまいました。

結局、本メカは、消防車としても、救急車としても、機能面においていささか中途半端で、レスキュー車輛としては成功しませんでした。また、移動手段においても、脚部による歩行のみしかできないということが災いし、抜群の悪路踏破性を誇りつつも、路面での高速移動が不得意という、致命的な欠点も抱えるに至りました。

もちろん、このメカには、高速移動を可能にさせる専用トラクターと運搬トレーラーが存在するのですが、その大きさはかなり巨大で、被災地への運用が思うに任せず、しかも価格は高額であり、結局は、本車の評価をさらに低いものにしてしまっただけでした。

もっとも、このメカは、軍用車輛としては、重装甲と悪路踏破性、脚の一部を欠損しても歩行が行える、といった点が評価され、信頼もされました。そのため、さまざまなバリエーション展開も行われ、成功した車輛として世に知られるようになりました)





話をレスキュータイプに戻しますが、その後、本車は、消化弾投擲装置は設置したままにして、車内の救命設備だけを取り払い、各種の通信機器、観測機器を設え、災害時の情報収集、救援活動の指揮車両として再利用されることとなりました。この指揮車輛に換装することで、本車は、軍用ほどの高い評価を得るまでにはいきませんでしたが、ようやく、有用な用途を見つけ出したかたちとなりました。



さて、このメカは、ドイツ軍のハノマーク兵員輸送車(sdkfz.251)の造形ラインを参考にデザインしました。多面体で構成された、ドイツ軍の装甲兵員輸送車、装甲車は、デザインとしては、ときに未来的にすら見えることがあります。
ですので、こうした近未来メカにそのラインを取り入れても、まったく、違和感がないように思います。



ちなみに、このメカも、アスキーさんにて使用したものですが、誌面使用のものは、ちょっと古い雰囲気のするメカで、との要望がありましたので、各所にリベットを埋め込んだりしていましたが、今回は、リベットを取り去った、洗練された雰囲気にリフォームしてのご紹介となりました。

というわけで、この次は、
ふたたび、レトロフューチャーなメカニックをご紹介したいと思っています。

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