2008年7月11日金曜日

ふたたび、レトロフューチャーメカ(1)



今回も、前回のマンモスメカニクス同様、レトロフューチャーなメカニクスを取り上げてみたいと思います。今回登場したメカニクスは、蒸気によって駆動する、フライングマシーンです。

このメカニクスをデザインするにあたり、まず、念頭に置いたのは、「飛行機のようでもあり、また、船のようでもあり、そして飛行船のようにも見えるフォルムにしたい」ということでした。
そして、ハードなメカニクスながら、ユーモラスで微笑ましい印象を持たせたい、ということも、同時に考えました。
また、各所に、メカニカルな部分を露出させることや、実際に乗ったら楽しいだろうな、と思えるような、何らかの工夫を施すことができれば、とも、思っていました。




そうして、何枚かのスケッチを重ねて、出来上がったカタチが、コレです。
全体の形状は、基本的に、紡錘形の単純なものなのですが、そこに、客室と操縦席を含むデッキ部分が、上部に張り出すかたちとなっています。
基本の紡錘形部分は、プレスされた真鍮のような金属でできている、という想定のもとに、ライン状の凹凸を加えて、プレス感を出しています。

また、メインとなる翼は、機体内部から伸びるアームによって上下に可動するという想定になっています。このアームにより、翼は、鳥のようにはばたき、機体の上昇を補助します。



機体後方には、機体を安定させるための、固定式の補助水平翼があります。補助翼の付け根部分にある黒い円筒状物体はボイラーという想定です。

また、機体前方両脇にある目のような突出物は、さまざまな光学機器を納めた、観測室という設定にしています。この目が、ユーモラスで微笑ましい印象を醸すものと思っています。

実際のメカニクスでも、ユーモラスな造形がきわだっているものがあります。
たとえば、オースチンヒーリー・スプライトというクルマは、前面グリルが笑顔を思わせるデザインとなっており、強いインパクトを人に与えます。

レトロフューチャーなメカニクスを考察する場合は、機能性ばかりにとらわれるよりも、ビジュアル面での「つかみどころ」を用意しておくことが、肝心かもしれません。



機体下面に見える車輪は、いうまでもなく着陸用のものですが、このままの状態で着陸はできません。実際に着陸するさいには、車輪がさらに下方にせり出してくる、という設定にしています。
つまり、このメカニクスの車輪は、格納状態においても、半分露出するかたちとなっています。

車輪が完全に格納できなかった理由は、ボイラーや翼駆動装置、また、機体重量を軽減するためのヘリウムガスタンクなどで、すでに機内は埋め尽くされており、車輪をきちんと格納するスペースが満足に取れなかった、という設定にしています。




それでは、次回も、このメカニクスの紹介を続けたいと思います。

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